「リーゾーットーさーん! 」
「今は仕事中だ、俺から離れて帰るか此処でくたばるのかどちらか選べ」
「もー、そんなこと言わないでくださいよー!」
俺の部屋で見知らぬエプロンを着た少女が俺に抱き着いているという、同じチームのメンバーに見られたらきっと変な目で見られるようなそんな状況下だ

あの時マルゲリータが食べたいと言い出した奴らは誰だったか。
職業柄暫く同じ店を使うということは少ないのだが、ここのピッツア・マルゲリータは絶品で初めて頼んでから週に1度は頼んでいる。
そして店主の計らいでその出来立てのピッツアを届けに来るのが紛れもなく俺の背中に張り付いているこの少女…であり、気付いたら懐かれていただけのピッツア屋のアルバイト。組織とは全くの無関係の人間である上、年齢にも一回り程下とししただと思うがかなりの差がある。
俺はそんな彼女に淡い恋心を抱いていた
しかしながら相手は思春期真っ盛りの一番楽しい時期で。きっと良い客としか思っていないか利用しようとしているかもしくは本当にただ単に遊びに来ているだけ、か
きっと彼女はそんな俺の悩みなんて知らない


後ろからの視線が気になる。どちらにせよ出来立てがなにより一番美味しい。そんな事を思いつつピッツアの箱を開けた。特になんの気もなくピッツアの1ピースだけ色の変わっている箇所に手を伸ばす。相変わらず出来立てだからかとろりとチーズが垂れ、伸びる

「あの…そのピッツア、試作品なんですがお味どうですか?」
「いつも通り美味しいが…ネエロのピッツアか、個人的にはもう少しニンニクが足されていても良い気がする」
「わあ、本当ですか!?貴重なご意見と褒めていただき、ありがとうございます!
今日のそのピッツア実は私がリゾットさんの為に作ったんです」
「それは良かったな」
どうせ他の男にも云っているのだろう。此方の気など知らないで。
「それでですね、 私ね、リゾットさんの事、好きなんです」
「ほう、良かったな」
きっとこれも罠だろう。これくらいの年の少女ならボーイフレンドの何人かはいたっておかしくないのだから。同世代の輩では飽き足らずわざわざこんな年上で遊ぶくらいなのだからやり手なのだろう

「ああもう!リゾットさんたらなんでそんな反応なんですか!冗談なんかじゃないんですって!」
「ほう…?
お前はいつもそうやって他の男のことも落としてるのか??」
おもむろに立ち上がりに迫る。不意討ちだったのか後ろへ後ろへとたじろぐ彼女を壁と腕で逃げ場を無くし、右手で彼女の顎をクイっと持ち上げた
しかし、彼女の反応は意外なことに何をされるかわからない、というような反応だった
「んっ…」
彼女の唇を俺の唇で塞ぎ、舌を這わせる
そしてそのキスで確信した
「お前…まさか、男性経験というものがないのか…?」
「だから、さっきからそうだと言ってるじゃないですか…」
俺は頭を抱えた。つまりこの少女は本当に俺の事が好きだった、ということだ
まさか歳の約一回り程違いそうな無垢で無邪気で無知な娘に振り回されときめいていた、なんて
思わずはぁ、と深く溜め息をついた
どうしたんですかリゾットさん!という声が聞こえてきたがその声の主に向かって自分なりの思いを伝える
「お前のピッツアが最上級になるまで待ってやろう、だからそれまで側にいろ」
その言葉に対し彼女は笑顔でうなづいた
俺はこれも惚れた弱みなのかもしれないな、とフッと笑いピッツアの1切れを手に取った


ピッツア



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