「ミスターミスター」
紫煙が漂っているミスタの部屋のソファの上に寝転がって私はだらだらと彼の名前を呼んだ
「なんだよー」
と彼もそれに負けないくらいのだるそうでぶっきらぼうに呼応した
「わたし、今Ciambellaが食べたいの」
大好きなミスタに構ってもらいたくって“いつもの“我が儘を云った
「んなのなら自分で作れんだろーよ」
というミスタの回答。確かにそれは最もな返事なのだけど。
「イタリア初上陸の超美味しいって噂のCiambellaショップが今日開店って今週の週刊誌に書いてあったのよ。
わたしそれが食べたいの、というかそれじゃなきゃや!」
「オメーまーた週刊誌見てんのかよ」
と、ミスタがぼやく。
「おっし、仕方ねえ、行くかー」
と立ち上がり支度をする
やはり彼は何だかんだ優しい
そして、それが私にとって苦しいのだ
近いのに遠い距離。いつまで経っても縮まない
いつになったら私の想いは届くのだろう
「もとっとと支度しろよ」
「えっわたしも行くの?」
「そりゃー欲しいモンわかんねえから一緒に行かないとだろ?」
そうしてミスタの車でショッピングモールまで走った
やはり開店初日だからか並んでいて30分待ってやっと買えた
どちらに致しますか?と店員さんが
「わたしシュガーコーティングされたのを1つ、チョコラータ掛けのものを1つ…ミスタはどれにする?」
「それと、プレーンのCiambellaを1つくれ」
可愛らしい紙袋に入れてもらうと、私はそれを受け取り大事に抱えた
毎度ありがとうございましたーという声を後ろに目的を終えた私達は帰宅しようとしていた…のだけれど。
「あーすまねえがちょっと腹壊したみたいだ…トイレ行ってくる。すぐ戻るから雑貨屋でも見ててくれ」
私の事など構わず走って向かったミスタ。
あぁもうなんでこういう時に…
でも、やっぱり他の女の子には少し違う対応なのだろうか。ミスタは私にいつも優しくしてくれて妹のように扱ってくれている。それが嬉しいけれど寂しい
「すまん遅くなった!」
「もう!バカミスタ!遅い!」
「ごめんな、
お詫びといっては何だけどトイレの神様が好みの指輪を買ってきてくれた…
受け取ってくれないか?」
そして目の前には指輪が差し出される
しかしながらその光景とセリフのシュールさに耐えられず、吹き出した
「フフフなにその嘘!めちゃくちゃじゃない!」
「ヒヒヒ、なかなかイケてんだろ??」
「もう…!フフッある意味ミスタらしいわ本当くだらないけれど面白かった!
けどそれ私以外の女の子にやってたら完全にドン引きされてたわよ?」
「いいんだよ、 にだけでもウケてりゃあいーの!
さてうちのお嬢の答えは?」
「benissimo!」
ドーナツ