私は恋をしている





相手の名は東方仗助という

私の通っているぶどうヶ丘高校では良い意味でも悪い意味でも有名人だった

海外の血を受けているそのルックスは見事に整っており、身長は…(男性と付き合った事など無いのでうちの父親を基準として考えるが)確実に180はとうに超している
しかも会話も面白いきたものだからか女子からは勿論、男子からも大人気なのだ
本屋に生まれ、家族親族は出版系の仕事ばかり就いており自らも生まれてこの方ずっと図書委員。殆んど友達といえる友達のいない私とはまさに雲泥の差、月と鼈、そういったような言葉が思い浮かぶ

もとより私は根っからのこの町の住人という訳ではない
うちの母親の年の離れた弟がこの町で執筆活動をしているらしい。
もともと伯父さんの家の一室に住む予定だったのだが「君がいては集中ができない。そこら辺の適当なアパートを借りてくれ」と押し切られすぐ横のアパートを借りてもらうこととなった。伯父さんは業界では期待の新人!などと書かれているので収入に問題はないのだろうがさすがになにからなにまで全額払ってもらうのも気が引けるので《カフェ・ドゥ・マゴ》でアルバイトをして半額程度は渡せるようにしている

一緒には住めないとはいわれたが週に1、2回は家に来る上、夜は共に食事をしたりはするくらいの仲ではあるので疎遠なわけでもお互い嫌いであるという訳ではない
彼は周りから見れば気難しく近寄りがたいイメージというものはあるであろうが、幼い頃から構ってもらい、知識の共有をしてきていた私にとっては兄のような存在である
ただあえて言うならば最近彼の部屋に行く度に一部分記憶が消えていたり彼の独り言が少し増えたような気はする。が、きっと気のせいだろう


これを恋と呼ぶのだと


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