あまったるい
あまったるい
キッチンの匂いが此方まで漂ってくる

このあまったるい匂いの原因はなんだろう、と探りにその場所へ向かう。
向かった先のそこには同居人であるがいた

「どうしたの、イルーゾォ」とは彼に問いかける

「甘い匂いがしたから来てみただけだ。それは何を作ってんのか?」
「ケーキだよ、シフォンケーキ」
そういって彼女の指した指の(正しくは泡立て器であるが)その先には既に二台のケーキができていた

「なんでそんなに作ってるんだよ」
「そりゃ食べたかったからの一本。残った分は渡せばみんなが食べてくれるだろうし
あ、勿論練習も兼ねてるよ?泡立てるのにもコツがいるんだから」
「それがココア、こっちは紅茶。で、今作ろうとしてんのが超甘いプレーン」と説明を加えた

「おまえ、ケーキが食べたかったのか?言われればオレが人気の取ってくるのに何故言わないんだ」
それを聞いたは混ぜていた手を一度休め「能力をそういう風に使わないの」とイルーゾォの額に強烈なデコピンを喰らわせる
「練習も兼ねてるって言ったでしょ。あとね、あっまいのが食べたいの。吐き気がするくらい甘いやつ。」

イルーゾォはあからさまなチッという音の付いた舌打ちをした
この二人の姿は傍目から見るとまるで不良をあやす先生のようである

「ところでそれは?」
「レシピ。メローネが教えてくれたの」
そういって差し出されたメローネ作のレシピ(以外ときれいな文字である)を手に取り目を通した

『《おいしいシフォンケーキのレシピ(ウチの型で1台分)》
卵(あらかじめ分けておく)
・卵黄:2個分
・卵白:3個分
砂糖:70g
小麦粉:55g
サラダ油:30cc
牛乳:少し(入れなくても大丈夫なので適量)

尚残った卵黄はプリンに使うかショウユヅケにしてワサビとアボカドと一緒にご飯で丼をつくるとベネ』

「なるほど、これをまず揃えこれから混ぜ合わせるというところか」
「そうそう。卵黄と卵白はもう最初に分けちゃったし粉類も全部まとめて量っちゃったからね」
「やることはないのか」
「そうだねーないかな
しかしながらさっきからこの卵白お砂糖増やしてもこの状態から泡立たないんだよね…どうしたものか…」

「貸してみろ」
と自信満々に手を差し伸べ初心者であるとは思えない勢いで手早く混ぜ合わせるイルーゾォ

「普通ここまで混ぜてればツノもかったーくなってる筈なんだけど…
作ってたうちに粉入っちゃったのかなぁ」
「なるほど…お菓子作りは繊細なんだな」
「そうなの。書いてあることは守ったほうがいいんだよー」
「ところでこれ超甘いのって言ってなかったか」
「あっ追加のお砂糖入れ忘れた!」

***

「あとはオーブンで170度40分、ね」
「これでやっとできたのか!」
「長かったねー」
「あとは焦げないように見張ってればいいのか?」
「そんなにずーっと見なくても大丈夫だよ、」

***

「すまない、さっき一緒に作ったシフォンケーキ、当たって落としてしまった…急いで戻したが綺麗な円じゃないんだ…」
は一瞬驚いた表情をし怪我等は無く無事であるの確認をすると安心したように微笑んだ
「失敗しちゃったのだし、大丈夫だよ」


***

それにまた一緒に作れるし……ね?


シフォンケェキ





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